スコーンのこと
僕たちは夫婦ふたり、この町でコーヒー豆とスコーンの店をしています。
コーヒー豆は僕、スコーンははるちゃん。
あまり馴染みのない焼き菓子、”スコーン”。
僕たちにとっては思い出が詰まった特別なモノ。
しっとりとした食感、バターの香り、程よい塩味。
それと混ざり合う果物、木の実、チョコレート、スパイス、ハーブ。
僕にとって世界一美味しいスコーンたち。
そんなスコーンはすべてはるちゃんが考え、作っています。
二男を妊娠した時は僕が代わりに作り、移転した時にはスタッフが一緒に作ってくれました。
材料はシンプル、なのにやっぱりはるちゃんが一番上手い。
「コツがある。」、らしいです。
毎週、営業に向けてひとりで手作りしています。
定番と季節のと思い付きを。
「あの人来るから。」「あの人来るかも。」
「こればっかやな。」「あれやってないな。」
ボソボソとラインナップを考えています。
仕込みの日と営業日を分けている大きな理由のひとつは、
“スコーンの仕込み方”にあります。
材料を混ぜ、成形して、焼く。
はるちゃんのスコーンには”寝かせる”というとても重要な工程を挟んでいます。
もちろん、材料を混ぜ、成形する工程にもかなりの時間が掛かっています。
はるちゃんのスコーンは少し面倒が多い。
必要な時に必要なスコーンをすぐに作り足す。
それができないはるちゃんのスコーン。
だからこそ、世界一美味しいと僕は思っています。
3日間、ときどき4日間の営業に向けて仕込んでいます。
状況にも寄りますが、仕込める量はだいたい同じ。
30分で無くなる日もあれば、ほとんど残ってしまう日もある。
必要として頂いているみなさまへ、なんとかいい形を。